ロレーヌ地方特産のフルーツ『ミラベル』
丸くて小さな黄色いフルーツ「ミラベル」。日本ではほとんど見かけませんがフランスではポピュラーなフルーツです。特にフランスのロレーヌ地方特産ということで、2011年の夏ロレーヌ地方を巡った写真と共にミラベルについてご紹介したいと思います。
今年の夏フランスのロレーヌ地方を訪れました。
ロレーヌ地方はフランス北東部に位置する地域です。
アルザス地方の西隣にあたります。
この地域では「ミラベル」という小さなフルーツの栽培が盛んです。
そのミラベルについて深く知りたいと思い、今回「Maison de la Mirabelle」に行ってきました。
ここでは、ミラベルについての資料やミラベルをつかった製品が揃っています。
Maison de la Mirabelle入り口近くには、こんな可愛らしい看板が。
ミラベルの実が描かれています。
夏の終わり頃短い期間に出回るフルーツですので、今回はフレッシュのものは見かけなかったのですが、とても小さくて可愛らしいフルーツです。
まずはマダムにミラベルについての概要を伺いました。
元々ミラベルはは11~12世紀中近東から伝わり、ロレーヌの地に広まったそうです。
フランスロレーヌ地方はミラベルの生産高が世界1位で、70%のシェアをしめます。
ミラベルにもAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)があります。
AOCは、フランスでチーズやワインなど農業製品に対する品質を保証するもので、特定の条件を満たす必要があります。
ミラベルの場合それらの条件は3つあります。
「直径が22ミリ以上」、「輝くような黄色」、「十分な糖分を含むこと」です。
簡単なミラベルの説明を受けた後、モニターを通してミラベルの栽培の様子をみることができました。
ミラベルの木は、パッと見桜の木に似ているようにかんじました。
春は白い花を咲かせます。
きっとそれは美しい光景なのでしょうね。
花が散り、実が成熟したら、専用の機器で木を揺さぶりながら実を振り落とします。少々強引な感じもしますが、思っている以上に落としても大丈夫なくらいミラベルは丈夫なのかもしれませんね。
施設内にはリキュールを作る部屋もあります。
ミラベルは短い期間しか出回らないため、旬の時期に収穫したものを様々なものに加工します。
その代表激なものがリキュール。
果実を潰し発酵させたものを、蒸留して作ります。
こちらでは、ミラベル以外にポワール(洋なし)やクエッチ(すももの一種)も作っているそうです。
ロレーヌ地方はアルザス同様フルーツの豊富な土地なのですね。
こちらでは、ミラベルを加工したたくさんの製品が並びます。
ミラベルのリキュール、そのリキュールをつかったババ、ミラベルの花の蜂蜜、ミラベルの香水など。
こちらはミラベルをつかったお菓子たち。
パート・ド・フリュイやキャラメル、マドレーヌ、ショコラやキャンディーなど小さなお菓子たちがたくさん揃っています。
これだけミラベルのお菓子が集まっているのを見れる場所はなかなかないので、どれも食べてみたい!という衝動にかられました。
これは、施設内に飾られていたものです。
どうやらミラベル祭りの告知用のポスターのようですね。
1936年8月30日の日に開催されたそうです。
ちょうどミラベルの収穫時期もそのあたりなのでしょう。
フランスではいろんなお祭りがありますが、その土地の名産物や歴史を現代に伝える素敵な祭事ですね。
Maison de la Mirabelleでは、いろんなお菓子があり迷ったのですが、ミラベルそのものが味わえるパート・ド・フリュイを購入しました。
ミラベルの果汁をたっぷり使った色合いも美しいパート・ド・フリュイで、甘酸っぱくて少し杏にも似たような風味がしてとても美味しかったです。
旬の美味しさを、こうやって加工することでまた違った形で楽しめることは嬉しいですね。
そしてロレーヌ地方のパティスリーでは定番のミラベルのタルト。
シュクレ生地やブリぜ生地にたっぷりのミラベルとその上にクランブルを重ねて焼いたシンプルなお菓子です。
この時期、まだミラベルの季節ではなかったのでおそらく缶詰か冷凍物を使っているのだと思いますが、タップリと一面にミラベルが詰まった様子を見ると買わずにはおれません。
少し味わいが淡いですが、穏やかな酸味のさっぱりしたタルトです。
こちらはミラベルのアイスです。
ロレーヌ地方の都市ナンシーのルレ・デセール会員ティエボー氏のパティスリーで食べた一品。
ミラベルのアイスとはなんともロレーヌらしいです。
何度かフランスを訪れていますが、ミラベルのアイスに出会ったのは初めて!
多分ロレーヌ地方にしかないかも?しれませんね。
初々しい甘酸っぱさがあってとても美味しかったです。
今回は初めてロレーヌ地方を訪れて、日本ではなかなか出会うことのないミラベルについて知ることができ、また実際食べることができとても貴重な機会を得ました。
今の時代、いろんな物や情報が日本にいても手に入りますが、やはり実際にその土地に行ってみないと分からない事や、その土地の空気感があります。
何より、その土地で実際食べてみなくては感じ得ないこともあるな。と改めて感じました。
今回より一層身近にな存在になったミラベル。
日本でもたまにお菓子で見かけることがありますので、気づいたらいろいろと食べてみたいと思います。
※本記事は、私が以前@niftyスイーツ部にて掲載していた記事を転載しました。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント